小沢健二「春の空気に虹をかけ」メモ

小沢健二2年振りのツアー「春の空気に虹をかけ」、無事終演。

僕が行ったのは、東京国際フォーラムホールA、大阪城ホール日本武道館の初日。つまり千秋楽以外全部。

既に多くの方がまとめや考察をアップしていらっしゃいますが、セットリスト各曲の備忘録的なメモをまとめておこうと思います。

 

1.アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)→ポエトリーリーディング部分を小沢一人で高速で言い放つ。「大阪ー!」もしくは「東京ー!」と叫び、10,9,8,7...のカウントダウンからイントロへ。"駒場図書館を~"のタイミングでステージ上のメンバーの姿が見える。途中、"小沢くん、インタビューとかでは~"の部分は強調して何度も繰り返すチャーミングな小沢君。

 

2.シナモン(都市と家庭)→NHK・SONGSでもやっていた、変身する!のポーズは観客と一緒に。曲中にサポートメンバーの名をメロディにのせて紹介。

 

その後、改めてこの時点でステージ上にいるメンバーを紹介。国際フォーラムではMCとして長々と語っていたが、大阪ではリズムに乗って行うようになった。また、国際フォーラムのみカメラマンが常にステージ上を動き回っており、37人目のメンバーとして紹介された。

ギターの土方さんは戦場のボーイズ・ライフの時に弾いていた方で、長い歳月を経てようやくライブ初共演である、鍵盤の西村さんは最近出会った若き天才、などのエピソードが挙げられる。また、満島ひかりが最後まで全曲参加するメンバーであると明かされると、特に初日には驚きの声があがった。この件についてはすぐさま情報が解禁されたため、大阪城ホール以降は「マスコミ報道の通り」などメディアを意識した発言もあった。今回も魔法的ツアー同様、観客も一緒に歌うスタイルであり、その説明の際には 「「女子」「男子」とか言いますので、女子っぽい気分の人・男子っぽい気分の人は一緒に歌って下さい」と、ジェンダー配慮がすごい。

 

3.ラブリー→満島ひかりとデュエットだが、アルペジオのカップリングに収録されたシンプルなバージョンではなくフルバンド演奏。武道館では「アップルのやつの完全版」といった発言もあった。曲中にストリングスチームも入場し、後半から演奏に加わる。

 

4.ぼくらが旅に出る理由→ホーン、ストリングス共に揃っており、LIFE収録のものに近いアレンジ。満島は小沢の横で、着替えの服で悩む仕草や歯を磨くアクションなどをしてみせるが、これはPVのオマージュ。2番、"そして君は摩天楼で~"の部分を高いキーで満島が歌うと、"それで僕は腕をふるって~"の部分を今度は小沢が歌う。このパートの男女の対比は、安藤裕子によるカバーバージョンを思わせる。(安藤、そしてスカパラ茂木欣一によるデュエット歌唱)

 

5.いちょう並木のセレナーデ→曲前に「雨降ってきましたね」と発言する小沢。武道館のみ初日のみ本当に外では雨が降っていたが、勿論その体で、という事。「傘でも差しながら」と、ステージ上手に移動し、傘を広げる満島と熱唱。女子パートと男子パートに分け、観客にも歌うよう要請する。オリジナルでは2番のサビで終了だが、今回はその後転調し、2番の歌詞を最初からもう一度繰り返した。そして最後のサビのみ、"アイム・レディ・フォー・ザ・ブルー?"の部分が"わかってきてる?"に変更。これはひふみよツアーと同様の歌詞。

 

6.神秘的→満島が下手に移動。小沢と距離をとりながら、デュエットで歌唱。台詞部分を満島が担当。子供達、そして子供がいる人達に、という旨のMCが曲前にあった。

 

7.いちごが染まる→2010年以来の披露。満島が緑と赤の蛍光色のロープ?のようなものを持ち、小沢を囲むようにぐるぐる回っていくという演出があった。

 

8.あらし→ライブ初披露の2002年曲。原曲ではウィスパーボイスでの歌唱だが、今回は通常の小沢らしい歌唱スタイル。

 

9.フクロウの声が聞こえる→セカオワは不在だが、アレンジはほぼCDに近い。楽曲から溢れる生命力が凄まじく、ある意味今ツアーでの一番のハイライト。ファンク交響楽でやりたいのはこういう事らしい。

 

10.メドレー(戦場のボーイズ・ライフ~愛し愛されて生きるのさ~東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディ・ブロー~愛し愛されて生きるのさ~戦場のボーイズ・ライフ)
→戦場~は2010年以来の披露だが、原曲キー、及び原曲に近いアレンジでの歌唱は恐らく1996年以来。冒頭部分、"ラッキースター"のロングトーン、"いつだってSOULは~"の部分、2番などカットされた部分も多々あるが、後半ではライブビデオでのみ確認できるCDとは異なる歌詞も歌われた。また"カモンボーイ!"の部分は"大阪ー!"など地名のシャウトに変更。小沢曲の中で恐らく一番キーが高く、2010年の披露時にはキーを下げて歌われたが、今回はまさかの原曲キー。50歳にして声、出る出る!"いつだって信じて~"のところで、王子様の格好して歌ってたHEY!HEY!HEY!のエンディングを思い出した。

「愛し愛されて生きるのさ」では印象的なイントロはカットされたが、前半後半合わせてほぼフル歌唱。後半は、"家族や友人たちと~"の部分から歌われた。ひふみよツアー同様、後半サビの前の歌詞が"我ら時を行く"に変更された。

「東京恋愛専科~」は、「愛し愛されて生きるのさ」前半後半の間に挟まれながらもほぼフル披露。冒頭、小沢弾き語りで"それでいつか僕と君が~"のパートからスタート、語尾を"お出かけしたいんだよ~"などとアレンジしてみせる。魔法的ツアーではHALCA主導による振り付けが印象的だったが、今回は小沢主導でイントロからより複雑な振り付けを展開。雨、雨、アレ?、傘、目目耳耳鼻鼻口口キラキラ、空~って、観てない人には何のこっちゃでしょうけど。この曲では演奏しないメンバーも多くおり、後方でシャボン玉を吹く姿が見られた。ほぼフルだったものの、2番の"ドミノ倒しが~"のくだりのカット、2番サビでの転調など変更点が幾つかあった。

 

11.強い気持ち・強い愛→ストリングスが入っているので原曲に近くもありつつ、魔法的でのアレンジをアップデートしたようなものになった。今回初めてイントロにブレイクが入り、よりキレッキレの踊れる仕上がりになった。個人的にはAメロに入る時の白根さんのドラムが大好き。

 

12.ある光→"Let's get on board"を力強く言い放ち、"飛び立とう、しっかりと"などのフレーズを加える場面もあった。ライブ後にオリジナルを聴くとBPMが遅く感じられるほど、今回のツアーではかなり凄まじいテンションで鳴っていた。小沢の帰還を改めて感じる、長年のファンにとってはグッとくるポイントである。

 

13.流動体について→戦場~ある光まではノンストップで演奏され、この曲の前に短いMCを挟んだ。フジロック同様、クラップを2回繰り返してから曲へ。この曲は復帰第一弾シングルにして「ある光」の続編的楽曲として知られているが、今回初めて連続で演奏された。本編はこの曲で終了、小沢は「アンコール呼んで下さい」と観客に呼びかけてステージを去る。

 

以下、アンコール。

EN1.流星ビバップ→「春、空、虹、春空虹」の声から曲へ。

 

EN2.春にして君を想う→CDとは大きく異なるアレンジ。間奏では2度、小沢・満島で左右にステップを踏む場面も。

 

EN3.ドアをノックするのは誰だ?→"一緒に導かれたいんだ~"のフレーズ(オリジナルでは英語の部分)から始まり、その後イントロへ。サビではドアノックダンスを踊る客達。

 

EN4.アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)→曲に乗せて36名のメンバーを紹介、メンバーを読み上げた後はオッオーオ!のかけ声を入れる。今ツアーのエンドロール的な位置づけなのか、楽曲自体は最初に披露したものよりも尺が短い。

 

全曲終了後、MC。毎回、「今日初めて僕のライブに来た方はどれぐらいいらっしゃいますか?」と尋ねる。カウントダウンをもってライブを終了する旨を説明し、「5.4.3.2.1 生活に帰ろう」の声で暗転、ライブ終了。開演が押した分を除く実質的な演奏時間としては各日2時間ちょっと。行っていない最終日のみ、最後にフクロウの声が聞こえるをもう一度演奏したらしい。

 

 

ちなみに僕は3公演とも号泣。特に初日...アルペジオから泣いていたけどぼくらが旅に出る理由と後半の怒涛のヒットパレードブロックで涙腺大崩壊、とんでもない事になってた。オザケンのライブはほぼ毎回泣いてしまうんですが、復活ツアーの頃は、とにかく信じられない、奇跡を観てしまったという涙だったのが、今はちょっと変わってきていて。ありがたい事に小沢健二のライブがある程度日常になってきたので、希少性というよりも曲に凄まじい生命力を感じて涙してしまう事が多い。その説得力は年々増してきているように思う。その1つの到達点が、今回の36人ファンク交響楽だった。分かっていても何度でも観たくなる素晴らしいコンサート。至福の時間だった。